

6~8人乗りの大型ミニバン
ここで紹介するのは、大人が6~8人無理なく乗車できる、中型ないし大型のミニバンだ。「ミニ」と付くのは、発祥の地である米国のフルサイズバンに比べると小型だから。米国製のミニバンは大らかな雰囲気や走りが魅力。一方、欧州製の大型ミニバンは商用バンベースが多く、機能性や合理的なデザインに魅力がある。日常生活に密着したクルマだけに、お国柄がはっきり表われるジャンルだ。
3列シートで室内は広々、スライド式ドアが主流。
基本的には3列シートで、レイアウトは2×2×2の6人乗り、2×2×3の7人乗り、2×3×3の8人乗りなどがある。輸入ミニバンで多いのは2列目を独立シート(通称キャプテンシート)とした6人ないし7人乗りだ。片側スライド式か両側スライド式ドアが多い。

全長4.8m~5m前後、全幅1.9m前後、
全高1.7~2m 前後のワンボックス型が多い
日本的な感覚では決して「ミニ」ではないが、欧州製ミニバンはスペース効率を突き詰めたボクシーな外観デザインが多く、米国製ミニバンも「ミニバン」である以上、無闇に大きいわけではない。ワンボックス型ないし、それに近い1.5ボックス型となる。
街中でも意外に運転しやすい。
ハイスピードは苦手。
ボディサイズは大きいが、見晴らしが良いため意外に街中でも運転はしやすい。小回りも予想以上に効くと言っていいだろう。一方、重心が高めなだけに、高速走行やコーナリングは不得意で、ゆったり走らせるのが大前提だ。
ミニバンとしての機能を
使い切れるかどうかによる。
排気量は比較的小さく、メカニズムもシンプル。商用バン仕様もあるくらいで、メンテナンスコストは特に高くない。経済的と言えるかどうかは、むしろユーザーがその機能を使いきれるかどうかに掛かっている。それが出来ればバリューフォーマネーは高い。
荷室スペースは最大級。キャンパー仕様も可。
サードシートはもちろん、セカンドシートも畳むか外すかすれば、いわゆる乗用車の中では最大級の荷室スペースが手に入る。スポーツ自転車やサーフボードといった装備を積むのに最適だ。ギャレー(簡易キッチン)やベッドを備えてキャンピングカー仕様とする例も多い。
ビジネスユーザーから、アウトドア派まで。
国産ミニバンだと圧倒的にファミリー層だが、輸入ミニバンに多いのが自営業者などのビジネスユーザーだ。仕事用のトランスポーターとしてはもちろん、ある程度オシャレにも使えるので、1台で全てを賄なうのに最適だろう。もちろん、週末は必ず海か山へ行くようなアウトドア派にも人気がある。
生活や仕事の道具である「バン」ならではの特色と言えるのが、アメリカン・ミニバンにはアメリカの、欧州製ミニバンには欧州の、ライフスタイルや価値観が濃厚に感じられることだ。カッコで選ぶというよりは、運ぶべきモノがある行動派に、ちょっといいツールボックスを手に入れるような気持ちで乗っていただきたい。

真四角のボディが個性的なVクラス(1998年日本発売)はメルセデス初のミニバン。駆動方式もメルセデス初の前輪駆動で、VW製V6+4ATを搭載する。取り外し可能な6人乗り独立シート、圧倒的な室内空間、両側スライドドアなどが特徴だ。
Vクラスの後継であるビアノは2003年に登場。駆動方式はFFからFRに変更され、3.2リッターV6エンジン+5ATとなる。3列シートは同じだが、定員は7人(2×2×3)に増えた。極めて頑強な作りの脱着式・独立シートが圧巻だ。
ホンダ・オデッセイやトヨタ・イプサムに近いサイズの3列シートミニバン。日本には2001年から2003年まで2+2+3の7人乗り仕様が導入された。2リッター直4ないし2.7リッターV6エンジンを搭載する。
フォルクスワーゲンのミニバンで、始祖はビートルベースのタイプ2だが、ヴァナゴンは前輪駆動を採用している。仕様や仕向け地によって、カラベル/マルチバン(主に欧州)、ユーロバン/ヴァナゴン(主に北米向け)、カリフォルニア(キャンパー仕様)等と名前を変える。日本ではかつてヴァナゴンの名で正規販売された。写真は欧州で販売されている現行のマルチバン。
現在主流となっているFFミニバンの始祖が、1983年に誕生したボイジャー。FFシャシーによる低い全高と広い室内空間を両立したパッケージングは、ここから始まったと言える。2001年に登場した現行モデルでは2列目と3列目の床下収納が可能だ。ロングモデルはグランドボイジャーと呼ばれる。
GMシボレーの元祖ミニバンがアストロ。フルサイズバンをそのままスケールダウンしたようなFR(後輪駆動)を基本とし、4WDも用意する。エンジンはV型6気筒OHVで、左ハンドルのみ。そのクラシカルな味わいはまさにアメ車だ。日本にもかなりの台数が正規や並行で輸入されたポピュラーな1台。